アメリカ矯正歯科学会にスタッフとともに
行って研修してきました。
アメリカでの矯正学会は、われわれの矯正歯科というフィールドにおいて
最も大きな学会です。
世界中の多くの著名な矯正歯科医の講演、
巨大な商社展示場での最先端の技術に触れることができます。
私は、卒後10年以上たった開業後初めて参加し、
その規模の大きさ、多くのことを興味深く学べることに驚き、
何度も個人的に参加してきました。
当時は、様々なトピックについて著名な先生の講演ビデオを
視聴できる部屋があり、40ドルぐらいでビデオを購入すると、
何度でも見ることもできました。
振り返ってみると、バナースデール、マクナマラ、
テンフープ+セトリン、ボイド、グルモン、コキッチ、
ハタサカ、ターレーなど多くの先生の話が
とても勉強になっています。
が、クリニックのマネージメントについて学んでくると、
私とスタッフの間の考え方に違いが生じることがありました。
それなら、クリニックのスタッフが
参加してもらわないことはないと強く思い、
近年は講習会などと同様に、
スタッフにも参加してもらうことにしています。
今回はラスベガスで開催されました。
スタッフも参加した学会の様子を2回に分けて報告してみます。
過去に何回か話を聞いたノルウェーのZachrisson先生は、
例年通り、途中で休憩を兼ねて面白いジョークを言って
気を和ませてくれるなど聞きやすい講演でした。
テーマも、今後人口比率が増える年配の方の矯正治療について、
以下のように大変示唆に富むものでした。
無理な治療は避けて治療のゴールを適切に設定する。
これは、昨年、日本矯正歯科学会でKokich先生が紹介されていた
特に成人矯正においては、必ずしも医師から見た理想的な仕上がり
にするのではなく、年齢や歯茎の状態、その方の希望によって、
ある程度患者さんの社会的事情を考慮した
(Narrative based medicineといいます)
現実的な治療を行うべきだという考えに近いものだと思いました。
抜歯部位を十分に検討する。
下顎の抜歯は歯槽骨が減少するので避ける。
歯と歯の接している部分を一層だけ削る(ストリッピング)により、接触点(コンタクトポイント)を歯茎側に移動して
ブラックトライアングルを小さくし、
審美的にも改善することができる。
歯の移動は一般的に遅いが、患者による個人差が大きい
ことを念頭において治療を行う。
歯をないところや上顎洞方向に歯を動かすことにより
骨を作る(orthodontic regenerated bone)方法が大変有益で、
同部にインプラントを埋入することもできるので
口腔外科医や歯科補綴医も注目している。
保定(メインテナンス)については、
われわれが時として使う内側からワイヤーを貼り付ける永久固定では、歯根吸収が起こりやすく、
ブラッシング不良などで歯周病が悪化することが考えられる。
しかしながら、舌圧は口唇の圧よりも大きいという
プロフィトの文献を引用して、
保定効果は歯周病患者では永久固定が望ましいと
説明されていました。
ケースバイケースでの対応が必要かもしれません。